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混沌世界の処世術④

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BOOK&coffeeへようこそ

 
BOOK&coffeeでは、クリエイティブな活動に欠かせない素材を、”本”から集めだし、シンプルにまとめています。
 
 
 
読者の皆さんの”クリエイティブな活動を支えるしごと場”として、BOOK&coffeeがあります。
 
 
 
 
 
今回のテーマは「整理」です。
 
 
 
複雑化した世の中で、自分が生きやすい環境をつくるためにはどうすれば良いか?
そのヒントをお伝えできればと思います。
 
 
 
 
 
 
取り上げる書籍は、
『佐藤可士和の超整理術』(著:佐藤可士和)
[日本経済新聞出版社]です。

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 <目次>
(前回)
①「整理術」が必要である理由  
「整理術」ってそもそもなに?  
③「整理術」のプロセス
 
 今回
④思考の整理術  
 
 
 
 
 
 

 おさらい

 
前回は「整理術」のプロセスを題目に、整理術はどうやって実行するのかをまとめてお伝えしました。
 
今回が最終回。
この回では頭の中を綺麗に整理整頓する術を「思考の整理術」と題してお伝えし、このテーマをしめくくろうと思います。
 
 
 
 
 

思考の整理術

 
 本書には3つの整理術が紹介されています。
「空間の整理術」「情報の整理術」「思考の整理術」ー。
 
その中でも、わたしは「思考の整理術」に一番心を動かされました。
 
この思考の整理術を一言でいうならば、
”コミュニケーションのサポートシステム”
という表現が腑に落ちています。
 
わたしたちは普段、言葉によって他者との会話を楽しんだり、意思疎通を交わしています。
 
 
ページをどんどん進めて行くうちにふと、
そのコミュニケーションの場面における、ある”気づき”を得ました。
 
その気づきから、後述している結論に着地し、思考の整理術に感銘を受けることになったのです。
 
 
まずその”気づき”とは何かというと、
「意思疎通の対象は他者だけではなく、自分自身の時もある」という観点です。
 
この小さな発見により、長い間わたしは
コミュニケーション=「お互いの考えを交換し、理解し合う時間」という先入観を持っていたことがわかりました。
 
しかしいや待て、その前に自分が、自分自身と意思疎通する必要があるではないか、ということをふと認識することができたのです。
 
 
そして、思考の整理術とは、
ああそういうことを意味してるのかと。
次のようにその実感を記しています。
 
「コミュニケーションの相手(自分or他者)を理解するための前段階のプロセスとして、まず自分の思考をきちんと整理する時間が必ず存在する。そしてその工程には、相手のために自分自身をコントロールするシステムがある。」ー。
 
 
これが思考の整理術なんだ!という大枠の解釈がわたしの中で生まれました。
 
 
普段のコミュニケーションにおいて気づかなかった部分を発見したのです。
 
 
以降はその”発見”がどんなものだったのかを詳しく文字に書き起こしてみつつ、
本書の「思考の整理術」のポイントを押さえていきます。
 
 
 
 

思考の情報化

 
 
まずは「思考」そのものをピックアップしてみます。
 
思考とは”考え”です。
つまり、頭のなかにあるもの。頭のなか以外の場所では存在できないものです。
 
では頭のなかには何があるでしょうか。
わたしが思うに、これは大きく2つに分けることができると考えています。
 
 
それは、「言葉」と「イメージ」です。
 
 
そして、わたしたちは
”頭のなかでつくりあげている理解”
それらを総称して「概念」と表現しています。
 
 
概念はとても抽象的なものです。
 
 
例えば、わたしたちは街中で散歩をしているチワワやダックスフンドを見ても、「犬」という言葉に変換してそれらを理解します。
 
要するに「共通点」を抜き出し、
それを「言葉」にしたものを飲み込んでいるのです。
 
 
頭で理解しているものが「概念」。
コミュニケーションはこの「概念」のやりとりだと見ることができます。
 
 
そのやりとりのための主な手段は「言葉」ですね。
 
 
概念を理解したり、発したりするにあたって、人は「言語化する」プロセスを必ず踏んでいるのです。
 
 
たとえ伝えるものが「イメージ」であっても、同じです。
 
イメージを他者と共有するにも結局、言葉によって相手の中にイメージをつくってあげることで伝達しているはずです。
 
(イメージなら、動画のやりとりという選択肢もあるかもしれませんが、それでは非効率でしょう。)
 
まとめていきます。
 
本書でも指摘されている大事なポイントはまずこの「言語化」です。
 
 
思考の整理術にあたって、言語化は必要不可欠なステップです。
 
 
言語化によって、自分の「思考」を「情報」というカタチに変換する必要があります
 
 
本書ではこれを言葉の通り、そのまま
思考の情報化」と表現しています。
 
 
言葉におこしていない状態のものだと、頭の中では何かが泳いでいるんだけども、
 
それはただの”シルエット”でしかない状態(概念)であり、
 
「言葉」を用いることで、そのシルエットの正体を明らかにしている(情報にしている)のです。
 
 
「思考の情報化」が大事なステップであることを、まずは理解していただければと思います。
 
 
 

なんのために「整理」をするのか

 
 
 
次に大事になるのは「なんのために整理をするのか」という”目的”です。
 
 
最初の回でも述べたとおり、整理のために整理術があるのではなく、
 
自分の夢・達成したいものにしっかりと近づくことを可能にしてくれる手段であるからこそ、整理術は価値があります。
 
 
では、思考の整理術におけるその”目的”とは一体なんでしょうか?
 
 
最終的には「ビジョンに近づくこと」です。
 
 
「未来のある時点に、理想とする(最高のパフォーマンスが発揮されている)”状態”があること」をビジョンといいます。
 
 
例えば、コミュニケーションにおいてどんなビジョンが想定されるでしょうか?
友達同士だと、「友人の悩みが解決されること」、ビジネスの場面だと「この商品を世の中にヒットさせること」といったものがありそうです。
 
 
いずれも、ビジョンというのは、自分だけでなく、他者とも同じ目的を共有できる機能を持っていることがわかります。
 
 
目的の表現は違えど、
最終的には掲げた旗の元に向かって進んで行けるように、わたしたちはコミュニケーションをしているのです。
 
 
 

「思考の整理術」はコミュニケーションを支えるシステム

 
 
コミュニケーションの真髄=「ビジョンに近づく」ー。
そして、思考の整理術の目的もまた、それに一致しています。
 
であるならば、思考の整理術とコミュニケーションの2つは同じ類のものとして捉えていいようにも感じます。
 
 
しかし、厳密にはそうではないことがわかりました。
 
 
結論から言いますと、思考の整理術はコミュニケーションを支えるメカニズムとして機能しています。
 
 
わかりやすく言えば、相手(自分)が思っていることの「理解」・「伝達」を助け、そして「アイデアの生産」や「物事の進展」を可能にしている、
ある種のこの回路とも言えるものが思考の整理術の機能と言うことです。

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思考の整理術→循環回路
 
そして、その回路を血液のように循環しているものが「言葉」です
コミュニケーションはこの回路を回すことによって行われていると、ここでは考えてみてください。
 
以上を踏まえて上で、まとめていきます。
 
 
「思考を整理する」ー。
”言葉だけ聞くと理解はたやすいものの、それが一体どういう状況を指しているのか、よくわからない”と思いませんか?
 
なぜ、想像しづらいかを考えると、これは整理する対象が「思考」だからです。
要するにそもそも目に見えないものを整理しようとしています
 
目に見えないものを整理することはもちろんできません。
しかし、「思考の整理術」はこの見えないものを整える術としてあります。
 
であるならば、まずは目に見えるようにしなくてはどうしようもない
 
ここで思い出していただきたい、
あの大事なポイントが生きるわけです。
 
そうです、「思考の情報化」です。
 
「思考の情報化」によって目に見えないものを”言語化”することで、目に見える「情報」に変換するのです。
 
情報なら、頭の外に存在させることができます。
この作業を踏んでいるから、頭の中を整理できるし、やりとりや共有ができるのです。
 
 

混沌世界の処世術

 
 
わたしは思考の整理術がもっとも魅力的に映ったと述べました。
 
 
たしかに、ここまでの理解でも魅力的に映らないわけではありません。
 
 
しかし、大事なことはもっと先の方に目にすることができました。
 
 
その大きな理由を語るにあたるキーワードは、「言語化」の重要性です。
 
 
昨今、あらゆる情報が世に溢れており、しかも現実世界とバーチャル世界の2つの世界で、情報が境界なく高速に循環しているようです。
 
 
私はその2世界の境界なしに、情報がめぐっている社会のことを、タイトルにもある通り、「混沌世界」と定義しています。
 
 
この混沌世界で、個々人がそれぞれの持つビジョンに近づくためには、
この情報の洪水をうまく乗り切り、舵取りをしなければならないことを本書から学びました。
 
 
数多ある情報とどう付き合うか。
ここを考えられなければ、混沌世界の闇に簡単に葬られてしまうことが推測できます。
 
 
これは要するに、
わたしたちは(誰かによって)発された「情報」に操られ、それによって好きなように踊らされてしまう人形と化しやすい世の中を生きているということです。
 
 
私はすでにその闇を経験しています。
この着眼点が生まれたのもそこからです。
そうなった時の感覚はとても恐ろしいもの。
 
 
あえて表現するなら、それは誰かが自分に憑依している、そんな感覚です。
 
 
冷静になればそもそも自分の考えや意志ではなく他者の価値観なのに、その他者の思考の信者にでもなったかのように依存してしまうのです。
厄介なのは、さらにそれを全て自分の思考だと錯覚してしまうのです
 
 
 
情報に飲まれるとは、わたしの解釈では、「自分の思考が他人の言葉に埋め尽くされる」ことを指しているのだと思います。
 
 
一般的にはこれを思考停止と呼んでいますね。
 
 
先ほどの図でこの部分を説明してみます。
 
 
注目していただきたいのは、循環している「言葉」の部分。
これが”誰の言葉か?”が大事だということです。
 
ぜひ、これに「自分の」と付け加えたい。
 
自分の言葉によって、自分や他者とコミュニケーションできないと、思考の整理はできないことをここで強く主張したいのです。
 
つまり、これが他者(および自分)のために、自分をコントロールするということを表します。

 

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自分とのコミュニケーション

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他者とのコミュニケーション

 

自分が見たもの、聴いたもの、嗅いだもの、触れたもの、味わったものー。

 
 
自分の五感を通して得られる概念を、きちんと自分の言葉に起こす力がないと、
 
 
簡単に混沌世界の浮浪者になってしまうという警鐘を読者の皆さんに向けて鳴らしたかったのです。
 
 
本書を読んでいて確信しました。
もし、混沌世界の処世術があるとしたら、まさにこの「思考の整理術」に匹敵するものはないのではないかと。
 
 
混沌世界で流通している情報はもはや目に見えないシルエット同然なのです。
 
 
他者の言葉に飲まれるのではなく、自分はそれをどう言葉にして表現し、どう社会とコミュニケーションをとっていくかを考えるー、その能力をトレーニングする必要があると思います。
 
 
自身の掲げる”ビジョン”に近づくために、
どういう視点で問題を捉え、
どこに旗をたて、
どのような進路を進み、
到達すべき山頂へ足を進めるべきか
 
 
この大きな命題を与えてくれる術こそが「整理術」です。
 
この複雑化した社会を鮮やかに切り裂く、最も鋭利なこの刃を、ぜひとも身につけてみてはいかがでしょうか。
 
 
以上の経緯を、できるだけ新鮮な状態で感じ取ったままに読者の皆さんにお伝えしようと思い立ち、筆をとりました。
 
それをまとめたものが今回のテーマ「整理」でした。
 
終始ぼやっとした内容のお話に感じられたかもしれません。
 
ですが、こと今回のテーマに関しては、
個々人がどんなビジョンを持っているかによって、
整理術の具体的なプロセスも答えも、人の数だけいろんな輝き方があると思います。
 
 
あとは読者のみなさんが実際に試してみたり、武器としてストックしたりと、カタチはどうあれ、1つでも得たものが残ってあるならば、それをとても嬉しく思います。
 
 
 とはいえ、わたしのまとめだと不完全燃焼の方も多いと思います。
 
 
そうであれば、
ぜひ本書、『佐藤可士和の超整理術』を、手にとってみてください。
 
 
本書には佐藤氏が実際に整理術を生かした実例がたくさん紹介されています。
 
 
今まで述べてきたこと以外の大事な学びもたくさんあります。
 
もっと詳しく知りたい方にむけて、本当におすすめの良書です。
 
 最後までお読みくださり、ありがとうございました。
 
お時間の許す限り、他の記事もお楽しみくださいませ。 
 
 
 ※著者:佐藤可士和氏について
アートディレクター/クリエイティブディレクター。
博報堂を経て「SAMURAI」設立。国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループのクリエイティブディレクション、幼稚園や病院のプロデュースまで、対象となる企業、組織の本質をつかみ、その存在を際立たせるコミュニケーション戦略とデザイン力で常に注目を集める。(本書より一部を抜粋)

 SAMURAI↓

kashiwasato.com

 
 
 
 
   (今回はこのへんでcoffee breakにしましょう☕️... ぜひまたいらしてください。)